沖縄で生まれ、奈良で育った。
両親が沖縄へ戻ったこともあり、最近は沖縄へ帰る機会が増えている。
それに伴って、「沖縄をもっと知ろう」と思うようになった。
このブログのタイトルも、そんな想いからつけたものだ。
もともと風景写真を志していたが、
プロとして仕事を重ねる中で、いつしか“撮りたいもの”から遠ざかっていた。
気づけば、自分のためにシャッターを切ることは、年に数えるほどしかない。
でも最近になって、少しずつ心にも時間にも余裕が出てきた。
「やれるときに、やれることを」
そう思えるようになったこともあり、今回は沖縄での撮影に出かけてみた。
昨年、那覇のやちむん通りを歩いたときのこと。
やちむん(焼き物)と聞いて、僕はもっと無骨で土臭いものをイメージしていた。
けれど実際に並んでいた器たちは、北欧の食器を思わせるような、繊細で洗練された雰囲気を持っていた。
特に印象に残ったのが、「工房 琉白(りゅうはく)」。
素朴な中にも、凛とした美しさがあって、器の一つひとつに静かな物語が宿っていた。
そのあと足を伸ばして見学に伺ったのが、「壺屋焼窯元 陶眞窯(とうしんがま)」。
もっと年配の“仙人”のような職人が黙々と轆轤(ろくろ)を回しているのかと思っていたが、
実際には若い職人たちが、真剣な眼差しで土と向き合っていた。
ただ、今回は見学の案内の方が付き添ってくださっていたこともあり、
じっくりとした制作風景の撮影までは叶わなかったが、
でも、そのぶん「カメラを構えずに観る」時間が持てたことで、
器が生まれる瞬間の空気や、工房の温度を、肌で感じられた気がする。
「伝統」というと、どこか固く閉ざされた世界のように思っていたけれど、
実際はもっと柔軟に開かれているのかもしれない。
そんなことを、写真を撮らないことで逆に気づかされた。














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